レコーディング3日前に咽頭炎発症。絶望からアニソンロックを歌い切るまでの72時間

目次
準備万端だったはずが、まさかの咽頭炎
人生二度目のレコーディング。今回は2ndシングルの制作で、アニソンロックというジャンルに挑戦することになった。練習も順調で、ボイストレーニングもしっかりこなし、準備は万端だと思っていた。
しかし、レコーディングのわずか3日前の朝、異変が起きた。
目が覚めて水を飲もうとした瞬間、嚥下時の激痛が喉を襲った。「え、嘘だろ…」心臓がバクバクと音を立てる。不安が全身を駆け巡る。どうしよう、レコーディングを延期すべきか。いや、スタジオの予約もあるし、関係者にも迷惑がかかる。でも、このままで声が出せるのか。
頭の中がパニックになりながらも、まずは落ち着いて対策を考えることにした。
72時間の闘い、始まる
1日目:徹底的な口腔ケアと食事管理
まず行ったのは、朝のブクブクうがいと徹底した歯磨き、そしてフロス。歯科医師としての知識が役に立った。口腔内の免疫機能は、歯磨きをして清掃状態を良くするだけでもアップする。これは基本中の基本だ。
次に気を使ったのは飲食物。カフェインは完全に断つことにした。香辛料などの刺激物も避け、揚げ物などの多くの脂を用いた食べ物も控えることに。油が多いと一時的に潤っても、あとから乾燥を招くからだ。
いつも喉の調子を良くしてくれる梅を溶かしたお湯を、常時ちびちび飲んだ。朝食はバナナなどのカリウムを含んだもの。昼食は魚の粕漬けとあら汁、白飯で、カリウムなどのミネラルや魚の脂、たんぱく質を意識した。EPAは炎症を改善する方向に働くはずだ。

夕飯時、どうしてもラーメンが食べたくなった。ストレスで食欲のコントロールが難しい。いろいろ調べた結果、しょうゆベースにネギ、適量の美味しいチャーシュー、つけ麺スタイルで塩分コントロールをするという結論に。

次の日の朝、喉の痛みが消えていた。「よし、これでいける!」
まさかの第二の試練
しかし、安心したのも束の間。次の日の朝、今まで痛みを感じたことがない左足の甲に痛みが走った。「なんだこれは…」
高尿酸血症を抱えているものの、ここ1年間以上は発作が出ていなかったのに。恐らく、レコーディングを控えたストレスと、梅湯を一日中飲み過ぎて塩分過多になり、結果的に脱水状態になって尿酸が足に蓄積したのだろう。
「くそーーー」思わず叫んだ。喉の問題が解決したと思ったら、今度は足か。
2日目:痛みとの戦い
朝、ロキソニンを1錠飲んだ。何を食べたらよいかわからなかったので、朝食はほとんど何も取らなかった。昼はサバの味噌煮込みで、過度な油や塩分による粘膜の刺激を考慮。いつもは使う七味唐辛子も我慢して、みそ汁を飲んだ(写真はなし)。
夜はレコーディングが翌日に控えている。よくよく調べて、ビールを2杯だけ飲むことにした。ストレスからの解放が目的だ。とにかく心配し過ぎて、ストレスと疲れがすごかった。本業の歯科医業も、こういう時に限ってめちゃくちゃ忙しいのである。
(※一般的にはアルコールはレコーディング前の少なくとも1週間は飲まない方が良いとされているので、読者の方はぜひ注意してほしい)

ビール2杯の後は、とろろそばを食べて粘膜保護。とろろのムチンの作用に期待した。

レコーディング前夜:ホテルでの静養
夜8時頃にはホテルにチェックイン。予約していた部屋に横たわり、ひたすら休息した。部屋ではヒーリング音楽を流したり、明日のレコーディングの自分の曲を流して歌詞を眺め、本当に小声でイメージトレーニングする程度に留めた。喉をいたわり、できるだけ声を出さないようにした。

窓の外を見ると、街の灯りが静かに瞬いている。「明日、ちゃんと歌えるだろうか」不安と期待が入り混じった複雑な気持ちで、その夜は眠りについた。
レコーディング当日:復活の朝
朝起きると、足の痛みが消えていた。ホテルの窓からは爽やかな光が差し込んでいる。「いける。絶対にいける」

レコーディングの時間は14時。逆算して動き始めた。
朝食は早めに取り、ここでも香辛料抜きを意識。カフェインも抜きなので、ホットのルイボスティーを飲んだ。

昼食については抜くことも考えたが、エネルギーのことや粘膜の免疫のことを考えるとたんぱく質が必要だろうと判断。なめこと豆腐の味噌汁、納豆に卵黄を乗せた白いご飯を食べた。
ウォーミングアップ
レコーディング前の1時間半ほど前から、軽く体を動かしてストレッチを行い、体をほぐした。
レコーディング直前の1時間では、20分間だけカラオケボックスを利用。サザンオールスターズの「ジャンヌダルクによろしくね」を歌い、中音域の声を中心に、リズムを膝や背骨などの関節で「ぐいんっ」と取ってスピード感を声に乗せる練習を意識した。ビブラートやスピード感が、ある程度良い状態であることを確認できた。
そして、自分の曲である「Rewrite リライト」の歌詞を最終確認。歌い方は頭には入っているものの、改めて曲を通しで聴きながら、歌詞を印刷したA4の紙に、1番、2番、ラストサビそれぞれの情景と雰囲気を書き記した。この作業が、後のレコーディングで大きな武器になった。

スタジオでの覚醒
スタジオに入った瞬間、不思議な感覚に包まれた。3日間の闘いが、すべてこの瞬間のためにあったような気がした。
ヘッドフォンから流れるオケの音。マイクの前に立つ。深呼吸を一つ。
「それでは、いきましょう」
エンジニアさんの声と共に、レコーディングが始まった。
驚いたことに、声がスムーズに出る。3日前の絶望が嘘のように、喉のコンディションは最高だった。むしろ、この3日間の徹底したケアのおかげで、普段よりも声の響きが良い。アニソンロックに必要なパワフルな高音も、問題なく出せた。
最高傑作の誕生
結果として、人生最高の歌を録ることができた。
エンジニアさんからも「素晴らしいテイクですね」と褒めていただいた。3日間の苦しみと努力が、すべて報われた瞬間だった。

学んだこと
この経験から学んだことは多い。
体調管理の重要性はもちろんだが、それ以上に「諦めずに最善を尽くすこと」の大切さを実感した。咽頭炎になった時、足が痛くなった時、何度も諦めそうになった。でも、一つ一つ問題に対処し、できることを全てやり切った。
歯科医師としての知識も、ボーカリストとしての活動に活かせることがわかった。口腔ケアと全身の健康、そして声のコンディションは、すべて繋がっている。
そして何より、音楽に対する情熱があれば、どんな困難も乗り越えられるということ。
2ndシングル「Rewrite リライト」は、近日リリース予定(2026年2月予定)。この72時間の闘いが詰まった、最高傑作を聴いてほしい。
※レコーディング前の体調管理について、読者の方へアドバイス:
- カフェイン、香辛料、揚げ物は最低3日前から避ける
- アルコールは1週間前から控えるのが理想
- 十分な睡眠と水分補給を心がける
- ストレス管理も重要(私のように足が痛くなることもあります…)
皆さんも、大切なレコーディングの際はぜひ体調管理に気をつけてください!
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Mitsuro — Integrative Intelligence Artist🌞🎤 東京の歯科医師・作家・音楽アーティスト 健康の研究をしながら、音楽で想いを表現しています。 オリジナル制作の合間に「歌ってみた」や演奏動画をアップ中。 科学では語れない気持ちを、音楽を通して伝えています。
僕の他の活動や最新情報は、以下のリンクからご覧いただけます。
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